【2024年】裁判所事務官の難易度・就職偏差値を判定

全国の家庭裁判所、高等裁判所、最高裁判所に勤務し、裁判の円滑な運営のために業務に従事するのが裁判所事務官になります。採用試験は総合職試験、一般職試験の2つに分けられ、総合職は院卒、大卒程度、一般試験は大卒程度、高卒程度の区分があります。

 

ここでは裁判所事務官の区分別難易度や偏差値、倍率など一覧にしてまとめていますので、他の公務員試験種との併願や比較としてご覧下さいね!また、民間企業への就職で迷われている方も参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

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裁判所事務官の難易度・偏差値

 

総合職(院卒・大卒)

 

難易度Sランク / 偏差値70

 

裁判所事務官の総合職は、財務省、法務省、外務省など最高峰のキャリア試験よりかは難易度は低いですが、院卒試験はその他の省庁試験と同等レベルの難易度と考えて良いかもしれません。また、大卒試験についても同様に高い偏差値が必要で、倍率の高い大卒試験のほうが難易度にすると院卒よりか上と思われます。

 

試験勉強時間/期間

 

1000時間~1500時間 / 1年間~1年半

 

裁判所事務官の総合職試験は、一般職と共通の筆記試験のほかに政策論文試験というものが課せられますので十分な対策が必要です。また人物評価は複数回行われ、二次試験は個別面接のみ、三次面接では集団での討論での活躍や再度個別面接をしたうえでの評価が下され、その配点比率がかなり高いのも特徴です。面接対策なども含めると、1年半前からの学習スタートで余裕をもって試験対策できると思われます。

 

一般職(大卒)

 

Aランク / 偏差値65

 

裁判所一般職(大卒程度)の難易度については、地方上級の都道府県庁職員、特別区職員、政令都市職員や国家一般職(衆議院職員、参議院職員)など同レベルで、財務専門官、国税専門官など併願して受験しているケースが多くあります。

 

試験勉強時間/期間

 

1000時間 / 1年間

 

裁判所事務官の試験は、基礎能力試験は同じですが、専門試験は一般の公務員試験よりも難問になっているのが特徴です。出題科目は法律科目がメインになっており、法学部出身は有利と考えられますが、総合的な学習時間は最低でも1時間は必要と思われます。

 

一般職(高卒)

 

難易度Aランク / 偏差値

 

高卒程度については、筆記試験自体はそれ程難しくはありませんが、何といっても申込者数の割りに採用人数が少ないので倍率が、過去3年の平均が34倍と高卒試験のなかでも超難関な試験になっています。倍率から見れば、裁判所事務官総合職の大卒と匹敵するほど合格するのは難しいと考えられます。

 

試験勉強時間/期間

 

1000時間 / 1年間

 

高卒の裁判所事務官試験は、大卒試験同様に一般の高卒程度公務員試験よりも難題になっていますので、十分な学習時間を確保して対策する必要があります。現役で合格を目指すのであれば高校3年生では遅すぎです。高校2年の春からしっかりと計画を立てて勉強する必要があります。

 

国家資格・民間企業の難易度と比較

 

Sランクに位置している裁判所事務官の総合職は、公認会計士の難易度に近いと思われます。また、ブランド企業、有名企業への就職も視野にいれているなら、就活生から人気の伊藤忠、三菱地所、JTBグループなど併せて検討してみると良いかもしれません。

 

そして、裁判所事務官一般職(大卒)は、司法書士や弁理士、不動産鑑定士など国家資格レベルと同じぐらいかと考えられます。また、民間企業と比べると「食品メーカー」「マスメディア」「化学メーカー」などの人気企業は、平均倍率が300倍以上になりますので、公務員試験よりも難しいと考えられます。

 

ただし、有名企業のなかでも比較的採用数が多いところは、内定しやすくなっていますので、そういった企業とでは裁判官事務官の方が難易度は高くなります。

 

 

 

裁判所事務官合格者の出身大学/出身校

 

この試験は法律の専門分野からの出題が多いために法学部出身者が多く、難関の大学出身者の合格者が多数を占めています。特に総合職は、司法試験に強い中央大学や国立大法学部、MARCH・慶応・早稲田、同志社大あたりの法学部から合格者が多くいます。

 

また、一般職になると立命館大、関大、また中堅クラスの大学やマイナー大学出身でも合格している人がいます。そして、高卒レベルの裁判所事務官の出身校は、主に県内トップ5あたりの県立、公立校が多く、上位私立校の学生も合格しています。

 

裁判所事務官の受験者・合格者・合格倍率推移

 

総合職(院卒)

 

年度 受験者数 合格者数 合格倍率
2018年度 124名 12名 10.3倍
2017年度 171名 13名 13.2倍
2016年度 420名 9名 46.7倍

 

高等裁判所管轄地区のなかでも東京、大阪は毎年、高倍率で30倍、40倍は珍しくはなく、2015年には東京139.5倍、大阪71.0倍のときもありました。また、同年の管轄区域平均は71.4倍と非常に高い倍率の時期になっています。ただし、近年の倍率は10台にとどまり、以前に比べ合格しやすくなっています。とは言っても高倍率には変わりありませんので、総合職裁判所事務官院卒区分での最終合格はとても難しい試験になります。

総合職(大卒)

 

年度 受験者数 合格者数 合格倍率
2018年度 421名 15名 28.1倍
2017年度 171名 13名 13.2倍
2016年度 375名 10名 37.5倍

 

2017年度は受験者数がいつもより少ないこともあり、合格しやすい年度でありましたが、総合職(大卒)裁判所事務官の平均倍率は毎年、30倍近いので難易度の高い試験になります。

 

一般職(大卒)

 

年度 受験者数 合格者数 合格倍率
2018年度 8,824名 1,131名 7.8倍
2017年度 8,469名 961名 8.8倍
2016年度 6,413名 765名 8.4倍

 

一般職(大卒)は倍率平均8倍台を推移し、とりあえず裁判所事務官のなかでは合格しやすい区分になります。そして、管轄区域でいうと福岡、大阪は、人気があるので受験者数が多く、倍率は高めになっています。

 

一般職(高卒)

 

年度 受験者数 合格者数 合格倍率
2018年度 3,092名 122名 25,3倍
2017年度 3,174名 95名 33.4倍
2016年度 2,985名 67名 44.6倍

 

高卒の裁判所事務官は、管轄区域のなかでも福岡高等裁判所がけた違いに受験者数が多く、倍率も非常に高い傾向としています。また、高卒程度のなかでも毎年、高い倍率を誇っている採用試験ですが、以前に比べて採用人数が増えているので、比例して合格倍率は下降傾向になっています。とは言っても20倍以上は推移していますので、最終合格するには難しい試験になります。

 

裁判所事務官総合職試験(院卒者・大卒程度)の概要

 

試験日程

・申込受付4月はじめ
・第1次試験日5月上旬
・第2次試験日6月上旬~中旬
・第3次試験日7月中旬
・最終合格者発表8月はじめ

受験資格

・院卒者区分は,30歳未満であって,大学院修了及び修了見込みの方が受験可

 

・大卒程度区分は,21歳以上30歳未満の方が受験可
※21歳未満で大学卒業及び卒業見込みの方も受験可

採用予定人数
※2019年度

・東京高等裁判所:院卒区分2人程度 大卒程度区分5人程度
・大阪高等裁判所:院卒区分2人程度 大卒程度区分3人程度
・名古屋高等裁判所:院卒区分1人程度 大卒程度区分2人程度
・広島高等裁判所:院卒区分1人程度 大卒程度区分2人程度
・福岡高等裁判所:院卒区分1人程度 大卒程度区分3人程度
・仙台高等裁判所:院卒区分1人程度 大卒程度区分2人程度
・札幌高等裁判所:院卒区分1人程度 大卒程度区分1人程度
・高松高等裁判所:院卒区分1人程度 大卒程度区分1人程度

試験科目

【一次試験】
・基礎能力試験(多肢選択式)
・専門試験(多肢選択式)

 

【二次試験】
・専門試験(記述式・憲法)※一次試験に実施
・論文試験(小論文)※一次試験に実施(特例試験希望者のみ)
・政策論文試験(記述式)
・専門試験(記述式・民法・刑法・訴訟法)※訴訟法は院卒区分のみ
・人物試験(個別面接)

 

【第三次試験】
人物試験(集団討論および個別面接)

試験開催地

①一次試験、二次試験の筆記試験の試験地は希望する勤務地に関わりなく、全国の試験地から受験に便利な試験地を選択できます。

 

②二次試験の人物試験は、希望する勤務地を管轄する高等裁判所の所在する試験地で受験することになります。
※詳しい試験地は裁判所webサイトで確認ください

 

院卒試験内容

 

試験種目 出題分野・出題数・時間 配点比率
基礎力試験(多肢選択式)

・知能分野27題・知識分野3題 ※特例試験希望者は知識分野13題
・計30題 2時間25分 ※特例試験希望者は計40題 3時間

2/15
専門知識(多肢選択式)

・必須 憲法7題、民法13題
・選択 刑法又は経済理論10題
・30題 1時間30分

2/15
論文試験(小論文)

・文章による表現力、課題に対する理解力などについての筆記試験1題
・1時間 ※特例希望者のみ

専門知識(記述式)

・憲法1題 ※1次試験実施 1時間
・民法1題、刑法1題 ※2次試験実施 計2題 2時間

4/15
政策論文試験(記述式)

・組織運営上の課題を理解し解決策を企画立案する能力などについての筆記試験1題
・1時間30分

1/15
人物試験(2次試験) 人柄、資質、能力などについての個別面接 2次試験合否判定のみ利用
人物試験(3次試験) 人柄、資質、能力などについての集団討論及び個別面接 6/15

 

大卒試験内容

 

試験種目 出題分野・出題数・時間 配点比率
基礎力試験(多肢選択式)

・知能分野27題・知識分野13題
・計40題 3時間

2/15
専門知識(多肢選択式)

・必須 憲法7題、民法13題
・選択 刑法又は経済理論10題
・30題 1時間30分

2/15
論文試験(小論文)

・文章による表現力、課題に対する理解力などについての筆記試験1題
・1時間 ※特例希望者のみ

専門知識(記述式)

・憲法1題 ※1次試験実施 1時間
・民法1題、刑法1題 ※2次試験実施 計2題 2時間

4/15
政策論文試験(記述式)

・組織運営上の課題を理解し解決策を企画立案する能力などについての筆記試験1題
・1時間30分

1/15
人物試験(2次試験) 人柄、資質、能力などについての個別面接 2次試験合否判定のみ利用
人物試験(3次試験) 人柄、資質、能力などについての集団討論及び個別面接 6/15

 

裁判所事務官一般職試験(大卒程度)の概要

 

試験日程

・申込受付4月はじめ
・第1次試験日5月上旬
・第2次試験日6月上旬~7月上旬
・最終合格者発表8月はじめ

受験資格

21歳以上30歳未満の方が受験できます
※21歳未満で大学卒業及び卒業見込み,短大卒業及び卒業見込みの方も受験可

採用予定人数
※2019年度

・東京高等裁判所:180人程度
・大阪高等裁判所:55人程度
・名古屋高等裁判所:30人程度
・広島高等裁判所:25人程度
・福岡高等裁判所:35人程度
・仙台高等裁判所:15人程度
・札幌高等裁判所:15人程度
・高松高等裁判所:10人程度

試験科目

【一次試験】
・基礎能力試験(多肢選択式)
・専門試験(多肢選択式)

 

【二次試験】
・専門試験(記述式・憲法)※一次試験に実施
・論文試験(小論文)※一次試験に実施(特例試験希望者のみ)
・人物試験(個別面接)

試験開催地

①一次試験、二次試験の筆記試験の試験地は希望する勤務地に関わりなく、全国の試験地から受験に便利な試験地を選択できます。
ただし、二次試験の筆記試験の試験地は一次試験の試験地と同じであり、異なる試験地の選択はできません。

 

②二次試験の人物試験は、希望する勤務地を管轄する高等裁判所の所在する試験地で受験することになります。
※詳しい試験地は裁判所webサイトで確認ください

 

試験内容

 

試験種目 出題分野・出題数・時間 配点比率
基礎力試験(多肢選択式)

・知能分野27題・知識分野13題
・計40題 3時間

2/10
専門知識(多肢選択式)

・必須 憲法7題、民法13題
・選択 刑法又は経済理論10題
・30題 1時間30分

2/10
論文試験(小論文)

・文章による表現力、課題に対する理解力などについての筆記試験1題
・1時間 ※1次試験に実施

1/10
専門知識(記述式)

・裁判所事務官(大卒程度区分)に必要な専門的知識などについての筆記試験
・憲法1題 1時間 ※1次試験に実施・六法の使用は認めません

1/10
人物試験(2次試験) 人柄、資質、能力などについての個別面接 4/10

 

裁判所事務官一般職試験(高卒程度)の概要

 

試験日程

・申込受付7月下旬~中旬
・第1次試験日9月上旬
・第1次試験合格発表日10月上旬
・第2次試験日10月中旬
・最終合格者発表11月上旬

受験資格

高卒見込み及び卒業後2年以内の方が受験できます
※中学卒業後2年以上5年未満の方も受験可

 

以上のほか,採用予定がある場合に,一般職試験(裁判所事務官,社会人区分)を実施。
受験資格:20歳以上40歳未満(高卒者区分の受験資格を有する者を除く。

採用予定人数
※2019年度

・東京高等裁判所:20人程度
・大阪高等裁判所:7人程度
・名古屋高等裁判所:4人程度
・広島高等裁判所:5人程度
・福岡高等裁判所:7人程度
・仙台高等裁判所:3人程度
・札幌高等裁判所:3人程度
・高松高等裁判所:3人程度

試験科目

【一次試験】
・基礎能力試験(多肢選択式)
・作文試験

 

【二次試験】
人物試験

試験開催地

①一次試験、二次試験の筆記試験の試験地は希望する勤務地に関わりなく、全国の試験地から受験に便利な試験地を選択できます。
②第2次試験の試験地は,希望する勤務地を管轄する高等裁判所の管轄区域内の試験地から選択することになります。

 

試験内容

 

試験種目 出題分野・出題数・時間 配点比率
基礎力試験(多肢選択式)

・公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験
・知能分野 24題、知識分野 21題
・45題 1時間40分

9/20
専門知識(多肢選択式)

・文章による表現力,課題に対する理解力などについての筆記試験
・1題 50題

3/20
人物試験(2次試験) 人柄,資質,能力などについての個別面接 8/20

 

裁判所事務官試験対策

 

筆記試験(基礎・専門)に必要な合格点は、総合職(院卒、大卒)、一般職(大卒)6~7割のボーダーラインで高卒は5割としています。そして、裁判所事務官は人物試験の配点比率も高いので、二次試験対策も十分に行う必要があります。

 

既に大学で法律を勉強している方も含め、一次、二次試験総合的に合格力をつけるには、効率的に身につけられる専門予備校や通信講座など利用することが得策と考えられます。また高卒程度の試験を受ける高校生については、公務員学校等の無料セミナーや授業など積極的に参加することで、現役合格の可能性も望めます。

 

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